【独自】愛知・豊川市で「はしか」集団感染、高校生5人発症 ワクチン未接種と供給不足で広がる不安
ニュース要約: 愛知県豊川市の県立高校で、男子生徒5人が「はしか(麻疹)」に相次いで感染し、集団感染の疑いが強まっています。最初の発症者がワクチン未接種だったことに加え、現在は地域の医療機関でMRワクチンが深刻な在庫不足に陥っており、予約困難な状況が続いています。感染力はインフルエンザの10倍とも言われる中、県は二次感染防止のため事前連絡後の受診を呼びかけています。
【独自】愛知・豊川市で「はしか」集団感染、高校生5人発症 ワクチン未接種者も―強まる混迷、現場では予約困難に
【豊川】愛知県東三河地方を中心に、極めて強い感染力を持つ「麻疹(はしか)」の脅威が広がっている。豊川市および豊橋市に住む男子高校生計5人の感染が相次いで判明し、県立高校内での集団感染(クラスター)の疑いが強まっている。2026年2月16日に最初の感染者が確認されて以降、背景には「ワクチン未接種」という免疫の空白と、供給不足に揺れる医療現場の苦悶が浮かび上がっている。
感染経路の特定急ぐ 止まらぬ拡大の懸念
県と豊橋市の実地調査によると、最初に発症が確認されたのは、豊川市内に住む10代の男子高校生だ。この生徒には海外渡航歴がなく、感染経路は現時点でも不明のままとなっている。2月13日に学校へ登校した後、高熱や発疹などの症状が悪化。15日に救急搬送され、16日に行政検査の結果「はしか」と診断された。
事態を重く見ているのは、その後の広がりだ。同じ県立高校に通う男子生徒4人にも、同様の発熱やコプリック斑(口の中の白い斑点)といった特有の症状が現れ、17日までに相次いで感染が確定した。いずれの生徒も感染の可能性があった期間に登校しており、教室という密閉された空間で、空気感染による拡大が起きた可能性が高い。
特筆すべきは、最初の感染者には麻疹の予防接種歴がなかったことだ。国立感染症研究所などの見解によれば、麻疹の集団免疫を維持するには、人口の95%以上が2回以上の接種を完了している必要がある。しかし、今回、未接種の生徒が学校生活を送る中で感染の起点となった事実は、教育・医療現場における「免疫の隙間」が依然として存在していることを露呈させた。
「在庫なし」悲鳴を上げる医療機関
地域の不安に拍車をかけているのが、ワクチンの供給不足だ。豊川市内では現在、麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの在庫が極めて不安定な状況にある。
「予約は受けているが、入荷の目処が立たない」。豊川市内の「豊川ARCクリニック」では、今回の流行を受けて問い合わせが急増しているものの、当日接種は不可能な状態だ。別のクリニック「あかさかクリニック」では、オンラインでの予約システムを運用しているものの、母子手帳による接種歴の確認を徹底し、優先順位を設けて対応せざるを得ない事態となっている。
豊川市保健センターは「定期接種の対象者を優先しているが、供給が不安定なため、市外の医療機関を含めた調整が必要な場合もある」と、綱渡りの運用を続けている。10代から20代にかけての若年層で、過去の接種漏れが懸念されるなか、受け皿となる医療体制はすでに限界に近い。
「風邪」と侮れぬ高熱、肺炎や脳炎のリスクも
麻疹の初期症状は38度前後の発熱や咳、鼻水など、一見すると風邪と見分けがつきにくい。しかし、数日後には39度を超える高熱とともに、全身に激しい発疹が現れる。感染力はインフルエンザの10倍とも言われ、マスクや手洗いだけでは防ぐことが困難な「空気感染」が最大の特徴だ。
さらに深刻なのは、その合併症だ。患者の約1000人に1人の割合で脳炎を発症するとされ、肺炎や中耳炎といった重篤な症状に陥るリスクも高い。愛知県内では2025年、前年までの「年数人以下」という推移を大きく上回る19人の患者が報告されており、今回の豊川市の事例は、その「再流行の波」が本格化した兆候とも言える。
求められる迅速な対応と冷静な判断
県は、発熱や発疹などの疑わしい症状が出た場合、保健所や医療機関に「はしかの疑いがある」と必ず事前連絡をするよう呼びかけている。直接受診することで、待合室での二次感染を引き起こすリスクを抑えるためだ。
愛知県東三河地方での「豊川市 麻疹」を巡る騒動は、単なる一地域の流行に留まらない。海外との往来が正常化し、国内の免疫レベルが低下している今、いつどこで第2の集団感染が発生してもおかしくない状況だ。住民には、母子手帳による自身の接種歴の再確認と、冷静かつ迅速な医療機関への連絡が求められている。
(2026年2月19日 豊川支局)
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