負債111億円 老舗アパレル「マツオインターナショナル」が会社更生法申請 コロナ禍で資金繰り悪化
ニュース要約: 婦人服の老舗マツオインターナショナル(「センソユニコ」「M'S GRACY」展開)が大阪地裁に会社更生法の適用を申請し受理された。負債総額は約111億円。コロナ禍による消費低迷と店舗経費の負担増により資金繰りが悪化。同社は今後、事業継続を図りつつ、スポンサー選定による抜本的な再建を目指す。
老舗アパレル「マツオインターナショナル」が会社更生法申請 負債111億円、コロナ禍で資金繰り悪化
【大阪】 婦人服の企画・販売を手掛ける老舗アパレル企業、マツオインターナショナル(本社・大阪市)は11日、大阪地方裁判所に対し会社更生法の適用を申請し、受理された。負債総額は、関係者によると約111億円にのぼる見通し。新型コロナウイルス禍による消費低迷と店舗運営経費の負担増が直撃し、資金繰りが急速に悪化。再建の道筋として、私的整理ではなく法的整理を選択するに至った。
ピークから一転、資金繰りの悪化が深刻化
マツオインターナショナルは1958年にテキスタイル卸売業として創業し、1980年代からは自社ブランド「センソユニコ」や、フェミニンでエレガントなデザインで知られる主力ブランド「M'S GRACY(エムズグレイシー)」を展開。百貨店を主要販路とし、素材から制作工程まで品質にこだわる「大人の女性のライフスタイル」提案で、ミセス層を中心に確固たる支持を得てきた。
同社の経営は、2019年8月期には売上高約177億円を計上するなど順調に推移していた。しかし、2020年以降のコロナ禍で状況は一変する。外出自粛や百貨店への客足減少により売上が大幅に落ち込み、2024年8月期まで赤字が続いた。
関係筋によれば、同社は売上回復の鈍化に加え、信用不安の増大により資金調達が難航。現金預金残高や棚卸資産の圧縮も進まず、資金繰りが著しく悪化していた。再建に向け、2025年に入ってからは中小企業活性化協議会の支援を受け、水面下でスポンサー候補を模索していたものの、抜本的な解決には至らず、最終的に会社更生法の適用という厳しい決断を下すこととなった。
独自路線と多角化の限界
マツオインターナショナルは、激化するアパレル市場において、「ミセス・シルバー層」を明確なターゲットとし、独自テキスタイルや丁寧な接客によるブランド価値の構築で差別化を図ってきた。近年では、長野の婦人服専門店「ロン・都」の一部事業や、2025年には「LA MARINE FRANÇAISE」のアパレルブランド事業を譲り受けるなど、多角化と事業拡大を図る動きも見せていた。
しかし、その一方で、社内からは複数の自社ブランドや他社仕入れ商品が混在することで、商品管理や企画が複雑化し、現場の負担が増しているとの指摘があった。また、競合他社に比して従業員の給与水準やキャリア成長の遅さに対する不満も散見され、内部の人材定着とモチベーション維持が構造的な課題となっていた。成熟市場に特化する独自路線が、環境激変下でリスクとなり、経営体力の消耗を早めた側面も否定できない。
再生への道筋とスポンサー選定の行方
今回の会社更生法申請により、同社は保全管理命令の下、事業の継続を図りつつ、抜本的な再建計画の策定に着手する。最大の焦点は、早期のスポンサー選定である。
法的な枠組みの中で、負債の整理と並行して、収益性の高い事業への集中や、ブランドポートフォリオの見直しが求められる。特に、高いブランド力を維持する「M'S GRACY」などの主力事業をいかに維持・発展させ、新たな顧客層を呼び込むかが鍵となる。
しかし、コロナ禍以降、多くのアパレル企業が厳しい経営環境に置かれており、老舗ブランドの再生は依然として厳しさを増している。関係者は、「信用不安が広がる中、事業の継続性を確保し、早期に信頼できるスポンサーを見つけられなければ、再建は極めて困難」と指摘する。
マツオインターナショナルの破綻は、独自のテキスタイルと高品質で勝負してきたミセスアパレル業界の構造的な脆弱性を浮き彫りにした形だ。老舗企業の再生が、今後の日本アパレル市場における事業再編の試金石となる。今後は、2025年11月14日に公表された第3四半期決算内容の詳細分析も含め、再建に向けた具体的な動きが注視される。(了)
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