カーリング界の「太陽」本橋麻里の現在地――選手から経営者へ、ロコ・ソラーレが描く未来図
ニュース要約: 元カーリング日本代表の本橋麻里氏が、選手活動休養を経てロコ・ソラーレ代表理事として組織運営と次世代育成に専念。2026年ミラノ・コルティナ五輪開催中、指導者や母としての顔を持ちつつ、北見市常呂町を拠点とした地域創生と競技の持続可能性に挑む彼女のリーダー像に迫ります。
【潮流】カーリング界の「太陽」は今――。本橋麻里が描く、氷上を超えた「ロコ・ソラーレ」の未来図
【2026年2月18日:オホーツク・北見】
氷都・北見市常呂町。氷を掃く激しい音と、選手たちの鋭いコールが響くカーリングホールの傍らで、静かに、しかし確固たる眼差しでリンクを見つめる女性がいる。かつて「マリリン」の愛称で日本中にカーリングブームを巻き起こし、現在は一般社団法人ロコ・ソラーレの代表理事を務める本橋麻里だ。
ミラノ・コルティナ冬季五輪が開催されている2026年2月。日本代表として戦うフォルティウスの躍進に沸く国内において、本橋の存在は「選手」という枠組みを超え、競技の存立基盤を支える「経営者」、そして次世代を育む「指導者」として、かつてないほどの輝きを放っている。
選手活動休養から「代表理事」への完全専念
本橋は2024年8月、自身のSNSを通じて2024-25年シーズン以降の選手活動休養を発表した。それまでは傘下のセカンドチーム「ロコ・ステラ」の選手として氷上に立ちつつ、運営業務を兼務する「二足のわらじ」を履いていたが、現在はその情熱のすべてを組織運営と普及活動に注いでいる。
「今の役割は、選手たちが競技だけに集中できる環境を作ること。そして、カーリングというスポーツを、4年に1度の熱狂で終わらせない仕組みを構築することです」。本橋は以前のインタビューでそう語っていたが、その言葉通り、現在はトップチームの「ロコ・ソラーレ」だけでなく、育成部門の「ロコ・ステラ」、そして男子チーム「ロコ・ドラーゴ」の3チームを統括する経営の舵取り役を担う。
変化する役割:コーチ、そして「母」としての眼差し
2026年2月17日、本橋のインスタグラムが大きな反響を呼んだ。長男がカーリングの新人戦で金メダルを獲得したことを報告し、「次は母(コーチ)がんばる」と綴ったのだ。ハッシュタグには「#curling #basketball」とあり、スポーツマンシップを重んじる彼女らしい教育方針が垣間見える。
この投稿は、彼女の活動が単なる法人運営にとどまらず、草の根のレベルでの技術指導やメンタルケアにまで及んでいることを示唆している。トリノ、バンクーバー、ソチ、そして平昌でのメダル獲得――。4度の五輪を経験した彼女が伝える「土壇場で踏ん張れる一体感」や「コミュニケーションの重要性」は、次世代の選手たちにとって何よりの教科書となっている。
「常呂から世界へ」地域創生と普及への挑戦
本橋が代表理事として掲げる柱は「世界一を目指す選手育成」と「地域づくり」だ。北見市常呂町という人口わずかな町を拠点に、スポンサー企業と連携した地方創生モデルを確立。単なるスポーツチームの枠を超え、環境問題に取り組む「ロコ・エコ」活動や、子供向けにカーリングの魅力を伝える絵本の読み聞かせなど、その活動は多岐にわたる。
「カーリングを通じて人の心を動かしたい」。本橋が繰り返し口にするこの信念は、現在ミラノ・コルティナ五輪で戦う選手たちにも、確実に受け継がれている。代表チームのメンバー構成が変わろうとも、彼女が築き上げた「互いを敬い、信頼し合う」ロコ・ソラーレのイズムは、日本カーリング界のスタンダードとなった。
39歳の抱負、そして国際舞台への展望
2025年に39歳の誕生日を迎えた際、本橋は「丁寧にお仕事頑張ります」と、誠実な姿勢で今後を見据えた。最近では解説者やタレントとしてのメディア出演に加え、ダイバーシティや男女共同参画といった社会的テーマについても発信を続けている。
かつて氷上のアイドルとして注目を浴びた本橋麻里は今、一人のリーダーとして、日本のウィンタースポーツが抱える「世代交代」や「持続可能性」という難題に正面から向き合っている。
2026年、ミラノの地で新たな歴史が刻まれる中、本橋は今日も常呂の氷を見守る。彼女が撒いた種は、北の大地にしっかりと根を張り、次なる「太陽(ロコ)」たちが世界を照らす日を待っている。
(文:特派記者)
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