「紛争屋」伊勢崎賢治氏が国会で問う日本の平和――軍事のリアルを知る実務家の安保論
ニュース要約: れいわ新選組の伊勢崎賢治参院議員が、国連での武装解除経験を武器に独自の安保論を国会で展開。憲法9条を基軸とした「戦争犯罪を裁く国」への転換や、非武装による紛争仲裁の重要性を訴えています。既存の右左の枠組みを超え、軍備拡張が進む現代日本において、法の支配による戦争抑止と外交の新たな選択肢を提示し、大きな注目を集めています。
【深度報道】「紛争屋」から国会へ、伊勢崎賢治氏が問い直す日本の「平和」――参院予算委で見せた独自の境地
2026年3月18日
東京――。かつて世界各地の紛争地で武器を回収し、兵士たちの武装解除(DDR)を指揮した「紛争屋」が、日本の国政の最高舞台で異例の論戦を挑んだ。
れいわ新選組所属の参議院議員、伊勢崎賢治氏は昨日17日、参院予算委員会において質問に立った。通常、国会質問には精緻な質疑通告が事前になされるが、伊勢崎氏は「通告なし」という極めて異例の形式で政府に迫った。その背景にあるのは、机上の空論ではない、東ティモール、シエラレオネ、そしてアフガニスタンという「死の淵」を見てきた実務家としての切実な危機感だ。
「白旗を掲げる勇気」を説く平和構築論
伊勢崎氏の主張の根幹には、常に「現場のリアル」がある。東京外国語大学名誉教授として平和学を講じてきた同氏は、2024年の立候補以来、一貫して日本の安全保障政策に警鐘を鳴らし続けてきた。
特に17日の質疑で目立ったのは、パレスチナ問題や北朝鮮情勢、そして石破政権の防衛政策に対する批判的視点だ。伊勢崎氏は、現在進められている軍備拡張や「対中抑止論」を、かつての大政翼賛会になぞらえ、「日本がアメリカの身代わりとして戦争に引きずり込まれる挑発装置化している」と断じる。
「平和憲法を持つ中立国」というイメージが、アフガニスタンでの武装解除において自身の最大の武器になったと語る伊勢崎氏は、憲法9条を「さらに9条化する」という独自の構想を掲げる。それは、単なる非武装主義ではなく、「戦争犯罪を世界で最も厳しく裁く国」へと日本を転換させ、紛争を止めるために「白旗を掲げて仲裁に入る勇気」を持つことだという。
街頭から国会へ、浸透する「伊勢崎流」安保論
伊勢崎氏の活動は国会内にとどまらない。今年1月には、海保とくま氏のイベントにゲストとして参加し、阿佐ヶ谷駅や荻窪駅の街頭でマイクを握った。また、2月には神奈川15区での応援演説において、「チキンホーク(戦争を知らない主戦論者)だらけの国会に風穴をあける」と激しい口調で訴え、SNSを中心に大きな反響を呼んだ。
聴衆の多くは、元国連幹部というエリートの肩書きを持ちながら、ジャズトランペッターとしても活動し、泥臭い紛争解決に従事してきた同氏の「言葉の重み」に耳を傾ける。ある支持者は「既存の右や左という枠組みを超え、軍事のリアリティを知る人間が語る平和論には説得力がある」と語る。
直面する「新しい形態の紛争」への課題
しかし、伊勢崎氏がかつて対峙した「軍閥による内戦」と、現代の「ハイブリッド戦争」やサイバー攻撃、AI兵器が主導する非対称戦争とでは、その様相が大きく異なる。かつてのPKO(国連平和維持活動)での経験が、ドローン戦やサイバー領域における紛争予防にどこまで応用可能なのか。
伊勢崎氏は現在、超党派議連を通じて「国際刑事法典の制定」を推進するなど、法的な枠組みで戦争犯罪を裁く仕組みづくりに注力している。これは、武力による抑止ではなく、法の支配による「戦争への抑止」を目指す試みだ。
2026年という「新しい戦前」の気配が漂う時代において、元国連職員の国会議員・伊勢崎賢治が投げかける問いは、日本の安全保障政策に一石を投じ続けている。同氏が提唱する「ジャパンCOIN(非武装自衛隊による国連停戦監視)」という構想が、果たして日本外交の新たな選択肢となり得るのか。その真価が問われるのは、これからだ。
(政治部・国際報道担当)
キーワード: 伊勢崎賢治, れいわ新選組, 参議院議員, 平和構築, 武装解除, 憲法9条, 日米地位協定, 戦争犯罪, 紛争解決, 国連PKO
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