「絶望」から「希望」へ。カミラ・ワリエワ、4年の空白を経てミラノ五輪へ衝撃の復帰
ニュース要約: ドーピング違反による4年間の資格停止処分を終えたフィギュアスケートのカミラ・ワリエワ選手が競技に復帰。19歳となった彼女はロシア国内の大会で4回転ジャンプを成功させ、健在ぶりを証明しました。ISUの制裁下で「中立選手(AIN)」枠という厳しい条件はあるものの、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への出場を視野に、再び銀盤の頂点を目指す彼女の動向に世界が注目しています。
「絶望」から「希望」への氷上復帰――カミラ・ワリエワ、4年の空白を経てミラノへの一歩
【モスクワ=時事、共同】 2022年北京冬季五輪のフィギュアスケート界を揺るがした「ワリエワ事件」。あれから4年の歳月が流れ、かつての「絶望の淵」に立たされた少女は今、再び銀盤の上で力強い一歩を踏み出している。ドーピング違反による4年間の資格停止処分が2025年12月25日に満了したカミラ・ワリエワ選手(19)が、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への出場を視野に、競技への完全復帰を果たした。
■空白の4年を埋める「4回転」の衝撃
資格停止処分が明けて間もない2026年1月末、モスクワで開催されたロシア・スケートジャンプ選手権。大声援に迎えられたワリエワ選手は、ブランクを感じさせない圧巻の演技を見せた。1分30秒という制限時間の中でジャンプの難度を競うこの大会で、彼女は代名詞とも言える4回転トーループを鮮やかに成功させた。
結果は6位(準決勝4位)に終わったものの、実戦から遠ざかっていた4年間、彼女が牙を研ぎ続けていたことは明らかだった。北京五輪で世界最高得点を記録し、フィギュア界の構図を塗り替えた天才少女の輝きは、19歳となった今、より洗練された力強さへと進化を遂げている。
■「年齢制限引き上げ」が追い風に
ワリエワ選手のドーピング問題は、図らずも国際スケート連盟(ISU)によるシニア参戦年齢の引き上げ(15歳から17歳へ)という劇的なルール改正を招く一因となった。しかし、この改正は現在の彼女にとって障壁ではない。
むしろ、コーチ陣の重鎮タチアナ・タラソワ氏らが指摘するように、若年化が激しかったロシア女子フィギュア界において、19歳のワリエワ選手が「シニア適齢期」として長期的なキャリアを構築できる土壌が整いつつある。かつてエテリ・トゥトベリーゼ氏のもとで過酷な練習を積んだ彼女は、現在、五輪金メダリストのタチアナ・ナフカ氏が主宰するスクールに拠点を移し、新たな環境でミラノ五輪を目指している。
■「AIN」枠としてのミラノへの道
最大の焦点は、目前に迫った2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への出場可否だ。ISUは現在、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う制裁措置を継続しつつも、厳格な条件を満たした選手に限り「個人資格の中立選手(AIN)」としての出場を男女各1枠認めている。
ワリエワ選手は長らく国際大会から除外されていたため、ランキングポイントや予選実績で他選手に遅れをとっている。しかし、ロシア連盟内での圧倒的な実力と、復帰直後に披露した4回転ジャンプの精度を考慮すれば、ISUが認める「1枠」の最有力候補に浮上する可能性は極めて高い。
■「クリーンな勝利」への証明
一方で、過去のドーピング問題に対する倫理的な視線は依然として厳しい。CAS(スポーツ仲裁裁判所)による4年間の処分は、北京五輪での団体金メダル剥奪(日本が銀メダルに繰り上がり)という重い代償を彼女に負わせた。
しかし、ロシア国内での彼女の人気は今なお衰えていない。2025年12月のアイスショー『くるみ割り人形』では、出演したワリエワ選手に対し、超満員の観客から文字通りのスタンディングオベーションが送られた。ロシア国内では、彼女を「不当な政治的判断の犠牲者」と見る向きが強く、復帰を願うファンの声が彼女の背中を押し続けている。
4月22日にはモスクワで大規模なアイスショーへの出演も控えており、競技とショーの両輪で調整を続けるワリエワ選手。2026年2月、イタリアの地で再び彼女の4回転が舞うのか。世界中のフィギュアファンが、その動向を注視している。
(文・スポーツ部編集委員)
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