海底レアアース開発の最前線!東洋エンジニアリングが挑む深海6000mの資源安全保障
ニュース要約: 南鳥島沖の深海6000メートルに眠るレアアース泥の回収試験が2026年1月に始動します。東洋エンジニアリングが開発する世界初「サブシープロダクションシステム」が注目を集めており、中国依存からの脱却と日本の資源安全保障を担う国家的プロジェクトの技術詳細や、株式市場での期待、実用化への課題を詳しく解説します。
レアアース関連株に注目集まる、東洋エンジニアリングが牽引する海底資源開発の最前線
南鳥島沖深海6000メートル——。この過酷な環境下で、日本の資源安全保障を大きく変える可能性を秘めたプロジェクトが動き出している。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)が主導する海底レアアース泥の回収試験が2026年1月に開始され、東洋エンジニアリング(6330)が開発を担うサブシープロダクションシステムが世界的な注目を集めている。中国への依存度が極めて高いレアアース供給網の多様化を目指す日本にとって、この技術開発は単なる資源探査を超えた戦略的意義を持つ。
深海からの挑戦、世界初の試掘掘削が始動
南鳥島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内、水深約5500メートルから6000メートルの海底に眠るレアアース泥。東洋エンジニアリングは、この粘性の高い海底泥をスラリー化して船上へ揚泥するシステムの解泥・採泥機器の基本設計から詳細設計、製作までを一手に担っている。
2022年度には採鉱・解泥・揚泥試験に成功し、技術的な実現可能性を実証した。2026年1月から探査船「ちきゅう」による試掘掘削が開始され、2027年2月から3月には大規模掘削試験へと移行する予定だ。さらに2027年度には南鳥島内の施設で選鉱・脱水実証も計画されており、プロジェクトは着実に実用化へ向けて前進している。
Nature誌でも「レアアース版サブシーファクトリー」として紹介されたこのシステムは、資源開発とサブシー技術を融合させた東洋エンジニアリングの技術力の結晶だ。同社の2026年3月期第2四半期決算では、総受注残高が6139億円に達し、その約33%にあたる1100億円相当が石油化学を含む資源開発関連分野で占められている。
クリーンな国産資源、放射性物質を含まない優位性
南鳥島沖のレアアース泥が注目される理由は、その資源量だけではない。魚の骨由来の高濃度蓄積という自然のメカニズムによって形成されたこの資源は、放射性物質を含まないクリーンな特性を持つ。
現在、日本のレアアース自給率は鉱山開発・リサイクルともに0%であり、中国への依存度は極めて高い。政府は経済安全保障推進法のもと、レアアース等の重要鉱物について鉱山開発・製錬事業への支援を明記し、他国の経済的威圧に対抗する安定供給確保を掲げている。
自民党の政策文書でも、レアアース供給網強化が重要課題として位置づけられ、海底レアアース開発は「資源・エネルギー安全保障・GX」分野で加速されている。米国との覚書に基づく共同投資も進められており、日本単独ではなく国際協力による長期自給体制の構築が目指されている。
株式市場の期待、投資家が見据える将来性
レアアース関連株として、東洋エンジニアリングへの投資家の期待は高まり続けている。2025年12月末時点では試験開始への期待から株価は大幅続伸し、5840円を記録した。「国産レアアースの花形銘柄」として、日中関係の不透明性が高まる中で輸入依存脱却の文脈でも注目を集めている。
同社のPBR(株価純資産倍率)は0.4ポイントから1.6ポイントへと改善し、長期上昇期待のレアアース関連有望株30銘柄にも選定された。市場では深海回収システム開発がプロジェクト成功の鍵と評価されている一方で、環境影響への懸念も指摘されている。
興味深いのは、東洋エンジニアリングの株価が米国のレアアース関連株の動きに連動する傾向を見せていることだ。米レアアース関連株が下落した時期には同社株も軟化するなど、国際的なレアアース市況が日本企業の株価に直接的に波及している。また、ショートポジションが積み上がった状態で信用倍率1.06倍、貸借倍率0.18倍となり、4日間で16円の逆日歩がついた状況も報告されており、需給面での影響も大きい。
実用化への課題と展望
プロジェクトの本格的な商業化には、まだ多くのハードルが残されている。2026年1月の試験結果を基に、2027年には大規模掘削試験が実施される予定だが、深海という極限環境での連続操業の安定性、コスト競争力、環境への影響評価など、克服すべき技術的・経済的課題は少なくない。
東洋エンジニアリングの2026年3月期第2四半期決算では、ブラジル向けガス火力などの収支悪化により営業損失42億円を計上しており、短期的な収益性には課題も見られる。しかし、総受注高は前年同期比147.6%増の1277億円に達し、カーボンニュートラル事業や石油化学プラント案件の進捗が中長期的な収益基盤を強化している。
NEDO関連のグリーンイノベーション基金では、次世代蓄電池・モーター分野で資源リスク対策が位置づけられているものの、レアアース単独の補助金採択額は未公表だ。政府支援の具体的な枠組みについては、今後の政策発表を待つ必要がある。
世界が注視する日本の挑戦
南鳥島沖の海底レアアース開発は、単なる資源探査プロジェクトではない。それは、資源小国日本が技術力で資源安全保障を確立しようとする国家的挑戦であり、東洋エンジニアリングはその最前線に立っている。
2027年度の島内選鉱・脱水実証を経て、実用化への道筋が明確になれば、日本のエネルギー・資源政策は大きな転換点を迎える。レアアース関連株への投資家の期待は、こうした中長期的な展望に根ざしている。
深海6000メートルからの挑戦——その成否が、日本の未来を左右する可能性を秘めている。
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