【2026年度】障害年金1.9%引き上げへ!精神・発達障害の不支給増加と認定基準の課題
ニュース要約: 2026年度の障害年金額が物価高騰に伴い1.9%引き上げられることが決定しました。1級は月額88,260円、2級は70,608円となります。支給額は増える一方で、精神疾患や発達障害の不支給判定が急増している現状や、認定基準の不透明さが課題となっています。本記事では改定額の詳細から、審査期間、所得制限の誤解まで最新の動向を解説します。
【ニュース解説】2026年度「障害年金」改定、1.9%引き上げへ。精神・発達障害の不支給増加と揺れる認定基準の現状
(東京=共同ニュース) 2026年4月、総務省が公表した消費者物価指数の上昇を受け、厚生労働省は2026年度(令和8年度)の年金額改定を発表した。公的年金の中でも、病気やケガで日常生活や労働に制限がある人を支える「障害年金」は、前年度から1.9%の引き上げとなる。物価高騰が続く中、生活の糧となる給付額の増加は受給者にとって一定の支えとなるが、一方で、近年深刻化している「精神疾患・発達障害」をめぐる審査の厳格化や、認定基準の不透明さに対する不安の声も広がっている。
1. 2026年度改定の内容:月額はいくら増えるのか
今回の改定により、2026年4月分(実際の振込は6月15日から)の障害基礎年金の支給額は以下の通りとなる。
- 1級(重度):月額 88,260円(前年度比 約1,625円増)
- 2級(中等度):月額 70,608円(前年度比 約1,300円増)
また、障害年金2級以上の受給者が対象となる「障害年金生活者支援給付金」もプラス改定され、1級の給付金は月額7,025円となる。厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げとなり、現役時代の加入状況に応じた増額が見込まれる。
2. 精神疾患・発達障害の「不支給」急増が招く混乱
制度面での増額が発表される一方で、現場では審査の「壁」が厚くなっているとの指摘がある。2024年以降、特に精神疾患や発達障害を理由とした申請において、不支給判定が前年の約2倍に達したというデータもあり、大きな社会問題となっている。
背景には、2011年(平成23年)の認定基準改正以降、知能指数(IQ)などの数値だけでなく「日常生活能力の判定」や「社会的適応性」を総合的に判断する仕組みが導入されたことがある。しかし、この「総合判断」が、近年の審査において実質的なハードルの引き上げに繋がっているのではないかという懸念だ。
特に発達障害の場合、IQが高くても「対人関係の構築が困難」「職場での適格性を欠く」といった特性により、就労や日常生活に著しい制限が生じることが多い。最新の動向では、こうした「見えにくい障害」を持つ申請者に対し、認定医による評価のばらつきが指摘されており、厚労省は2025年度内に不支給判定の点検を完了させ、認定医の選定方法を見直す方針を固めている。
3. 申請から受給までの期間と「所得制限」の誤解
障害年金の申請を検討する際、多くの人が不安に感じるのが「待機期間」と「所得制限」だ。
現在の標準的なスケジュールでは、申請書類の提出から通知が届くまでの審査期間は、障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半を要する。その後、初回振込までには約50日かかるため、申請から受給までには合計で4ヶ月〜6ヶ月程度の余裕を見ておく必要がある。もし不支給通知が届いた場合は、通知受領後3ヶ月以内に「審査請求」を行うことが権利として認められている。
また、よくある誤解として「働くと年金が止まる」という不安があるが、障害年金は原則として所得制限がない。年収400万円以上の給与を得ながら受給しているケースもあり、支給停止の判断はあくまで「障害の状態」に基づく。ただし、「20歳前傷病による障害基礎年金」については例外で、前年所得が約370万円(単身者の場合)を超えると半額、約472万円を超えると全額支給停止となる点には注意が必要だ。
4. まとめ:制度の柔軟な運用と「家族依存」からの脱却
2026年3月、日本障害者協議会(JD)は厚労省に対し、障害者が親や家族に依存せずに自立できる所得保障制度の確立を求める要望書を提出した。現行の障害年金制度は、わずかな初診日の違いで厚生年金の対象外となったり、審査のブラックボックス化により受給が遅延したりといった課題を抱えている。
今回の1.9%引き上げは、物価スライドに伴う形式的な措置に過ぎない。今後、より公平で透明性の高い認定基準の策定と、精神・発達障害を含むすべての障害者が安心して暮らせるための抜本的な制度改革が、政府には求められている。
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