2025年12月22日、今年も残すところわずかとなり、日本列島は年末特有の高揚感と慌ただしさに包まれています。スポーツ、エンターテインメント、経済、そして社会の各分野で大きな動きがあった今日一日のニュースを、ベテラン編集者の視点で振り返ります。
スポーツ：新星の輝きとレジェンドの勇退、そしてメジャーへの挑戦
フィギュアスケートの全日本選手権では、アイスダンス転向からわずか半年の櫛田育良選手が、島田高志郎選手とのペアで銀メダルを獲得するという異例の快挙を成し遂げました[1]。また、レスリング全日本選手権では、パリ五輪金メダリストの藤波朱理選手が階級転向の苦難を乗り越え、公式戦150連勝という金字塔を打ち立てて優勝を飾っています[35]。氷上では、バレーボール男子世界クラブ選手権で大阪ブルテオンが日本勢初の決勝進出を決め、イタリアの強豪ペルージャに所属する石川祐希選手との「日本人対決」が世界一を懸けて実現します[62]。
球界に目を向けると、ヤクルトの村上宗隆選手がシカゴ・ホワイトソックスと2年契約で合意[19]。一方、巨人の岡本和真選手もメジャー移籍へ向けた交渉が最終局面を迎えており、140億円規模の大型契約が予想されています[18]。楽天のエース、則本昂大投手もメジャー挑戦を涙ながらに表明し、35歳での大きな決断にファンから温かいエールが送られました[49]。さらに大相撲では、第74代横綱・豊昇龍が誕生し、相撲界は新たな時代へと突入しました[93]。
一方で、悲喜こもごもの話題も。元日本代表MF柏木陽介選手の引退試合には本田圭佑選手や香川真司選手ら豪華メンバーが集結し、天才司令塔の最後を彩りました[72]。しかし、フランスで活躍する南野拓実選手が左膝に重傷を負い、W杯出場への懸念が広がるという痛ましいニュースも飛び込んできています[30]。
芸能・エンタメ：賞レースの興奮と、交錯する人間模様
昨日行われた「M-1グランプリ2025」の余韻が冷めやらぬ中、見事第21代王者に輝いた「たくろう」が大きな話題を呼んでいます[37][74]。敗れたものの、3位に食い込んだ「エバース」の野球ネタや[42][88]、敗者復活戦で爪痕を残した「例えば炎」など、新たなスターたちの台頭にお笑い界の地殻変動を感じさせます[43]。
また、日本テレビの岩田絵里奈アナウンサーが来年3月での退社とフリー転身を発表し、業界に衝撃が走っています[15]。俳優界では、吉沢亮さん主演の映画『国宝』が興収142億円を突破する歴史的ヒットを記録[68]。アニメ界では『ハイキュー!!』の続編製作決定や[2][67]、『チェンソーマン 刺客編』のアニメ化が発表され、ファンの期待は最高潮に達しています[73]。
私生活では、モデルの藤井サチさんが夫の姿を初公開し幸せを滲ませる一方で[32]、女優の広末涼子さんが時速185キロの速度超過による事故で略式起訴されるという厳しいニュースも報じられました[22]。
経済・社会：生活に直結する変化と、年末の警鐘
ビジネスシーンでは、ファーストリテイリングが気象データを活用した戦略で過去最高益を更新[3]。好調な企業がある一方で、楽天カードが約42億円の追徴課税を巡り国税局と対決姿勢を見せるなど、波乱の展開も続いています[8]。身近なところでは、ユニクロがポケモン30周年を記念した新作UTを来春発売すると発表[28]。また、トヨタの「ルーミー」が来秋ハイブリッド化されるという情報は、ファミリー層の注目を集めそうです[94]。
社会情勢に目を向けると、ウクライナのゼレンスキー大統領が米主導の和平交渉を巡り、領土問題を抱えて苦境に立たされています[90]。国内では、冬至の風物詩である「ゆず湯」の季節を迎え[84]、年末ジャンボ宝くじの当選への期待も高まる時期です[82]。しかし、今日は近鉄奈良線で1日に2回の人身事故が発生し、帰宅ラッシュが大混乱に[11]。またJR外房線でも竹木の衝突により運転見合わせが起こるなど、年末の移動シーズンにおける公共交通の安全性が改めて問われています[20]。
今日という一日は、過去の努力が実を結ぶ快挙と、予期せぬトラブル、そして未来への大きな決断が複雑に絡み合った日となりました。寒さが本格化する中、ゆず湯で体を温め、来る新年に向けて英気を養いたいものです。
エトミデート指定薬物化：「ゾンビたばこ」被害深刻化と医療麻酔薬の供給危機
ニュース要約: 未承認麻酔薬エトミデートが2025年5月、乱用拡大を受け指定薬物化された。沖縄などで「ゾンビたばこ」として流通し、若年層の健康被害が深刻化。この規制強化は、代替薬への需要集中を招き、麻酔薬全体の供給不足を助長。医療現場の混乱と薬物乱用防止教育の再構築という、二つの大きな課題を日本社会に突きつけている。
規制強化の波紋：未承認麻酔薬「エトミデート」が炙り出す日本の薬物乱用最前線
指定薬物化で医療現場に供給問題、若年層の「ゾンビたばこ」被害深刻化
【東京発、2025年12月12日 共同通信】
本来、海外の医療現場で麻酔導入時の静脈鎮静剤として用いられる化合物エトミデート（Etomidate）が、2025年、日本国内で極めて異例な形で社会の表舞台に登場した。非合法な流通ルートを通じて若年層を中心に乱用が拡大し、厚生労働省は同年5月、同成分を指定薬物に追加。医療用以外の輸入・所持・使用を原則禁止する強硬策に踏み切った。この規制強化は、麻酔薬全体の供給不足問題と相まって医療機関の運用に影を落とすとともに、沖縄などで「ゾンビたばこ」と称される違法リキッドによる健康被害を深刻化させている。
1. 医療現場の混乱：規制と供給制約の二重苦
エトミデートは、作用発現が速く、心血管系への影響が少ないという利点から、海外では救急医療や外傷時の鎮静薬として重用されてきた経緯がある。しかし、日本ではその安全性、特に副腎皮質ホルモンの生合成を阻害する重大な副作用リスクが懸念され、これまで医薬品として承認されてこなかった。
2025年5月16日の指定薬物公布、同26日の施行以降、非医療ルートだけでなく、医療機関における将来的な利用可能性も事実上閉ざされた形だ。医療界では、麻酔薬ポートフォリオ全体の見直しが急務となっている。医薬品卸の調査によると、同時期には他の麻酔関連薬にも「限定出荷」の傾向が見られており、エトミデートの規制強化が代替薬への需要を集中させ、麻酔薬全体の供給不足を助長する懸念が指摘されている。
特に、循環安定性が求められる重症患者やトラウマ患者への麻酔導入において、代替薬の選定と在庫確保が喫緊の課題となっている。一部の大学病院や手術室管理者からは、手術スケジュールの運用見直しや代替薬の在庫配分ルール策定に追われているとの声が聞かれ、未承認薬の乱用問題が、日本の医療提供体制の脆弱な構造を露呈する結果となった。
2. 沖縄で急増する「ゾンビたばこ」の脅威
エトミデートが社会問題化した最大の要因は、非合法な乱用の蔓延である。特に沖縄県では、電子たばこ型リキッドにエトミデートが違法に混入され、「ゾンビたばこ」として流通。若年層を中心に吸引され、意識混濁や異常行動を引き起こし、救急搬送事例が急増した。
沖縄県内の救急搬送データ（令和7年9月末時点）によると、薬物使用疑いによる搬送は継続しており、中枢・自律神経症状、手足の震え、めまい、永続的な神経損傷、呼吸抑制といった重篤な健康被害が報告されている。台湾など海外でも、エトミデート乱用が原因とみられる死亡例や交通事故が確認されており、その危険性は極めて高い。
この違法リキッドは、東南アジア経由とみられる国際的な密輸ルートを通じて流入しているとされ、成田空港などでは密輸摘発事例が相次いでいる。暴力団など反社会的勢力による関与も指摘されており、指定薬物化後も流通を食い止めるための行政・警察の対応が急がれている。
3. 未承認薬の潜む危険性：安全性評価と専門家の警告
日本国内では臨床試験データがないエトミデートだが、海外の安全性評価では、その使用リスクが改めて浮き彫りになっている。特に重症患者に対する5日以上の持続注入では、死亡率が著しく増加するとの研究結果が存在する。約32,000人を対象とした後ろ向き研究では、一般的な麻酔薬であるプロポフォールと比較して、死亡リスクが2.5倍に上る可能性も示唆されている。
最大の懸念事項は、副腎皮質ステロイド合成の阻害作用である。これは体内でストレス応答や免疫調整に不可欠なホルモンの生成を妨げ、特に重症感染症やショック状態の患者にとって致命的となり得る。日本の麻酔科学会関係者は、「循環動態が安定しているという利点があっても、この副腎抑制作用が日本で医療承認を見送ってきた最大の理由だ。非医療用途での使用は、使用者自身の命を危険に晒す行為に他ならない」と強く警告する。
4. 行政の対応と今後の課題
厚生労働省は、2025年5月の指定薬物化以降、「買わない、使わない、関わらない」よう国民への注意喚起を継続している。また、警察や税関と連携し、水際での摘発と国内流通の阻止に全力を挙げている。
名古屋市や台東区など一部の自治体も、地域での蔓延防止に向けた注意喚起を強化しているが、電子たばこリキッドやサプリメントと偽装した形態での密輸・販売は巧妙化しており、違法薬物に対する若年層の認識の甘さも問題解決を難しくしている。エトミデート****乱用問題は、単なる薬物規制強化に留まらず、広範な麻酔薬の供給不足という構造的な課題、そして若年層に対する薬物乱用防止教育の再構築という、二つの大きな課題を日本社会に突きつけている。