ホンダ「スーパーカブ」変革期：2026年型と電動化の行方、10万km走破の経済性を探る

ホンダ「スーパーカブ」不朽の名車が迎える変革期：2026年型と電動化の行方、10万kmを走破する経済性の秘密

【東京】 長きにわたり世界中の人々の生活の足として君臨してきたホンダのスーパーカブシリーズが、環境規制と新基準への対応、そして若年層のカスタム文化という三つの波に乗り、新たな変革期を迎えている。特に2026年モデルの発売を控える中、次世代の「電動カブ」の市場投入時期に注目が集まっており、その動向は二輪業界全体の未来を占う上で重要な指標となりそうだ。（2025年11月28日）

第一章：新型モデルは堅実な進化、待望される電動化情報

ホンダ カブシリーズは、2026年モデルとしてスーパーカブ110、スーパーカブ110プロ、クロスカブ110などを2025年12月11日に国内で発売する予定だ。関連情報によると、これらのモデルは性能や装備に大きな変更はなく、カラーリングの刷新と価格改定が中心となる。スーパーカブ110は約35万2000円、プロモデルは約39万6000円となる見込みだ。

一方で、二輪車を取り巻く環境規制は厳しさを増しており、50ccモデルの生産終了が見込まれる中、ホンダは110ccベースの「スーパーカブ110 Lite」を「新基準原付」適合モデルとして投入し、市場のニーズに応える構えを見せている。

しかし、次世代の主力となり得る「電動カブ」に関する公式発表や具体的な性能情報は、現時点（2025年11月末）では確認されていない。環境性能と最新技術の融合が期待される中、「ホンダ カブ」が誇る驚異的な経済性と耐久性を電動化によっていかに維持・発展させるのか、今後の技術開発と市場投入のタイミングが強く待望されている。

第二章：若年層を惹きつけるカスタム文化の広がり

ホンダ カブが現代の若者にも支持される背景には、その高いカスタム自由度と実用性にある。特に「CT125・ハンターカブ」や「クロスカブ110」といった派生モデルを中心に、カスタム市場は活況を呈している。

最新のトレンドは、単なるドレスアップに留まらず、機能性とデザイン性を高次元で両立させる方向にある。具体的には、ヨシムラ製マフラーへのカーボンヒートカバーの装着や、アルミ削り出しのワイドステップなど、走行性能の向上と見た目の高級感を追求したパーツが人気を集めている。

YouTubeなどの動画プラットフォームでは、バッテリー交換や積載性の向上といった実用的なカスタムから、個性的なアクセサリーの装着まで、多彩な楽しみ方が紹介されている。若者たちは、ホンダ カブを単なる移動手段としてではなく、自身のライフスタイルや価値観を表現するためのキャンバスとして捉え、多様なニーズに合わせた「自分だけのカブ」を創造している。この自由度の高さこそが、規制対応が進む二輪市場において、カブシリーズが若者の間で「再評価」される大きな理由となっている。

第三章：不朽の名車たる所以、驚異の経済性と耐久性

ホンダ カブが半世紀以上にわたり「不朽の名車」として世界中で愛され続けている最大の秘密は、その耐久性と経済性に他ならない。

カブに搭載される空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンは、シンプルかつ頑丈な構造を特徴としており、定期的なメンテナンスさえ行えば、10万kmを超える走行は珍しくなく、中には20万km、30万kmを目指すユーザーも存在する。開発当初から過酷な悪路や過積載が想定されていた設計思想は、整備環境が劣る東南アジアやアフリカなど、世界中の現場でそのタフさを証明している。部品の供給が安定しており、安価で修理しやすい「整備性」も、長期保有を可能にする重要な要素だ。

また、その経済性は群を抜いている。最新のインジェクションモデルでは、1リットルあたり50kmから、モデルによっては105kmを達成する驚異的な燃費性能を誇る。車体価格、税金、保険、メンテナンス費用すべてがリーズナブルであり、日常の通勤や業務使用におけるコストパフォーマンスは圧倒的だ。

ホンダ カブは、スタイルやスピードを追うのではなく、「実用性」「耐久性」「経済性」を徹底的に追求した結果として、時代や国境を超えて高い信頼を獲得した。今後、電動化や新基準への移行が進む中でも、このカブが持つ普遍的な価値が、次世代のモビリティのあり方を示唆するものとして、引き続き注目されるだろう。