【群馬県】移住希望地2年連続1位の光と影:究極の日常を阻む「深刻な水不足」と感染症の試練
ニュース要約: 群馬県が2025年移住希望地ランキングで2年連続1位を獲得。クリエイティブ産業の創出やコストパフォーマンスを武器に現役世代の支持を集める一方、貯水率20%割れの深刻な水不足が基幹産業の農業を直撃しています。インフルエンザ流行などの公衆衛生上の課題も浮き彫りとなる中、「選ばれる県」から「住み続けられる県」への真の技量が問われています。
【地方創生・深層レポート】「究極の日常」を武器に2年連続1位、群馬県が描く「移住大国」への戦略と直面する課題
【前橋】 2026年2月26日、北関東の雄・群馬県がかつてない注目を集めている。認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表した2025年の「移住希望地ランキング」において、群馬県が2年連続で全国1位を独占した。物価高騰が続く首都圏近郊において、「生活費を半分に抑えつつ、豊かな自然と共生する」という群馬モデルが、現役世代を中心に強い支持を得ている。しかし、その躍進の裏では、深刻な水不足や感染症の再流行といった、生活基盤を揺るがす「地方の現実」も浮き彫りとなっている。
■「移住1位」の光と、クリエイティブ産業への野心
群馬県が移住先として圧倒的な支持を得ている背景には、山本一太知事が掲げる「クリエイティブ産業の創出」と徹底したコストパフォーマンスの訴求がある。2026年1月の記者会見で山本知事は、「単なるベッドタウンではなく、知的高付加価値を生む拠点にする」と強調。インド訪問を通じたIT人材の交流や、高崎市の「gメッセ群馬」を活用した「GUNMA FASHION MARKET(3月7〜8日開催)」など、若年層やクリエイターを惹きつける施策を次々と打ち出している。
実際に移住を決めた都内在住の30代男性は、「テレワークが普及する中、群馬は温泉地へのアクセスも良く、家賃や物価が圧倒的に安い。生活の質が劇的に上がった」と話す。県はさらに、ペット共生型の防災フェスや「tsukurun(ツクルン)」といったデジタルコンテンツ創出拠点の拡充を通じ、ソフト面での魅力向上を加速させている。
■「水不足」の衝撃、農家を襲う空前の渇水
一方で、華やかな移住施策の影で、県の基幹産業である農業が危機に瀕している。富岡市の大塩貯水池では、2026年2月現在、貯水率が20%を割り込む19.2%まで低下。水位は平常時より14メートルも下がり、農業用水の50%制限という異例の事態に発展している。
今年の1月の降水量は0ミリ。2月に入っても平年のわずか2%に相当する0.5ミリにとどまり、出荷最盛期を迎える「切りバラ」などの農家からは「このままでは出荷に深刻な影響が出る。これほどの渇水は経験がない」と悲痛な声が上がる。県は24日に自然環境協定の更新などを発表したが、気候変動に伴う水資源管理は、移住者の増加に伴う生活用水の確保とも密接に関わる喫緊の課題だ。
■健康リスクと「温泉王国」の多面性
県内の生活面に目を向けると、保健衛生上の懸念も広がっている。県感染症情報センターの最新報告(2月16〜22日週)によると、インフルエンザ警報が継続発令中だ。特にB型を中心とした流行が続いており、再感染への注意が呼びかけられている。また、高崎市を中心に百日咳の報告が相次いでいるほか、レジオネラ症や梅毒といった感染症も確認されており、県民への迅速な情報公開と防疫体制の強化が求められている。
こうした逆風の中でも、群馬の最大の武器である「温泉文化」はさらなる高みを目指している。2025年末に「温泉文化」がユネスコ無形文化遺産への提案候補に選定されたことを受け、草津、伊香保、水上、四万といった「群馬四大温泉」への期待は高まる一方だ。草津温泉の湯畑では、金色のイルミネーションが夜を彩り、冬の観光需要を支えている。
■今後の気象と防災:春の足音と不安定な空
2月26日の群馬県内は、高気圧に覆われるものの湿った空気の影響で曇り時々晴れの予報となっている。週末にかけては最高気温が19度前後まで上がる地点もあり、春一番の訪れを感じさせる陽気となる見込みだが、降水確率は30〜40%と不安定な天気が続く。
水不足解消への期待がかかる「恵みの雨」となるか、あるいは土砂災害などの懸念材料となるか。山本知事が25日に予定していた会見が配信トラブルで延期されるなど、県政の情報発信には一部混乱も見られたが、県は「県民の安心・安全を最優先に、あらゆるチャンネルで情報を伝達する」としている。
「選ばれる県」から「住み続けられる県」へ。移住人気という追い風の中で、群馬県は水資源の確保と公衆衛生という、地方自治体の真の技量が問われる試練の春を迎えようとしている。
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