フルッタフルッタ（2586）株価暴騰の真相　アサイー事業好調で急伸も乱高下続く

東証スタンダード市場に上場する株式会社フルッタフルッタ（証券コード：2586）の株価が11月中旬以降、激しい値動きを見せている。11月20日には前日比21.43%高の153円まで急騰し、出来高も3,154万株を超える活況を呈した。中間決算での大幅増益が材料視された一方、新株予約権発行による希薄化懸念も浮上し、投資家心理は揺れ動いている。

中間決算で劇的なV字回復を達成

フルッタフルッタが11月13日に発表した2026年3月期中間決算は、市場の予想を大きく上回る内容となった。売上高は前年同期比83.0%増の20億5,800万円に達し、営業利益は174.6%増の2億5,400万円を記録。経常利益に至っては前年比3.7倍という驚異的な伸びを見せ、長年の赤字体質から完全な転換を果たした。

業績改善の原動力となったのは、同社の主力であるアサイー関連商品の販売拡大だ。「お家でアサイーボウル」など家庭向け商品が健康・美容意識の高まりを背景に市場で大きな支持を獲得。さらに、かっぱ寿司やモスバーガーといった大手外食チェーンへの販路拡大も功を奏し、BtoC・BtoB両面で収益基盤を強化した。

株価は一転急落、その後反発の展開

しかし、好決算発表後の株価推移は投資家の期待を裏切る展開となった。11月14日、フルッタフルッタの株価は一時215円まで上昇したものの、その後急速に売り込まれ、終値は187円と前日比24%安で取引を終えた。この日の出来高は2,614万株と膨らみ、パニック売りの様相を呈した。

急落の背景には、決算発表と同時に明らかにされた新株予約権の大量発行がある。株式希薄化への懸念が投資家の警戒感を高め、利益確定売りと相まって株価を押し下げた。その後も調整が続き、11月18日には120円まで下落。短期間で株価は半値近くまで売り込まれる事態となった。

ところが11月20日、状況は一変する。同社株は131円で寄り付いた後、買いが優勢となり、一時153円まで急伸。前日比27円高（21.43%高）で取引を終え、出来高も3,154万株と高水準を維持した。売買代金は44億8,000万円に達し、個人投資家だけでなく機関投資家の資金流入も示唆される活況ぶりとなった。

財務基盤は良好、成長持続性に注目

現在の株価153円における主要指標を見ると、PER（株価収益率）は34.78倍、PBR（株価純資産倍率）は4.04倍と、成長期待が織り込まれた水準にある。一方、自己資本比率は83.2%と極めて健全で、ROE（自己資本利益率）も9.14%と良好だ。

注目すべきは、過去12四半期にわたって業績が改善傾向を続けている点だ。純利益率はマイナスからプラスへ転じ、売上高とEPS（1株当たり利益）も右肩上がりの成長を示している。これは単なる一時的な反発ではなく、構造的な改善を示唆するものだ。

さらに同社は6月、売れるネット広告社グループと越境EC協業を発表。TikTokを活用したライブコマースを通じて中国市場への本格参入を決定しており、新たな成長の柱として期待されている。

投資家心理は二極化、今後の展開は

市場では同社株に対する評価が分かれている。投資家の感情投票では「強く買いたい」が55.83%と過半数を占める一方、「強く売りたい」も23.3%存在し、意見が二極化している状況だ。

年初来高値は8月14日の454円で、現在の株価はそこから66%下落した水準にある。しかし、2026年3月期の経常利益予想は3億7,000万円と過去最高水準を見込んでおり、業績改善が続けば株価の再評価余地は大きい。

今後の焦点は、アサイー事業の成長が持続可能かどうかだ。健康食品市場の競争激化や消費者トレンドの変化、さらには越境EC事業の成否が、中長期的な株価パフォーマンスを左右する重要な要素となるだろう。フルッタフルッタの株価暴騰は、企業の実力を反映したものなのか、それとも過度な期待によるものなのか。投資家の冷静な判断が求められている。