空の覇者F-15が迎える新局面:F-15EX嘉手納配備と退役延期が示す東アジアの緊張
ニュース要約: 米空軍がF-15Eの退役を延期し、最新鋭F-15EXを嘉手納基地へ配備するなど、F-15シリーズが再び東アジア戦略の中核に。圧倒的な兵装搭載能力と最新の電子戦システムを備えた「デジタル・イーグル」の導入や、航空自衛隊F-15Jの近代化改修により、2040年代まで続く「最強の守護神」としての新たな役割を詳報します。
【コラム・軍事潮流】空の覇者「F-15」が迎える新局面――退役延期と「F-15EX」嘉手納配備が示す東アジアの緊張
【ワシントン、東京】。かつて「無敵の空の王者」と呼ばれたF-15イーグルが、2026年現在、再び世界の軍事戦略の中核に返り咲こうとしている。米国空軍(USAF)は当初の退役計画を大幅に見直し、主力派生型である**F-15E「ストライク・イーグル」の運用期限を2027年以降に延長。さらに最新鋭のF-15EX「イーグルII」**を日本の嘉手納基地へ実戦配備するなど、東アジアの安全保障環境を左右する「切り札」としての存在感を強めている。
■F-15Eの退役延期:背後に潜む「戦力空白」への危機感
米国空軍の現在の戦略において、最も大きな変更点の一つがF-15Eの運用継続だ。当初、旧式のエンジン(F100-PW-220E)を搭載した機体などは2025年までに退役させる方針だったが、2026年初頭の時点で約219機の機体が高稼働状態を維持している。背景にあるのは、次世代戦闘機F-35のデリバリー遅延と、それに伴う「タクティカル・ファイター(戦術戦闘機)の数的不足」への強い懸念だ。
米国議会はF-15Eの打撃能力を高く評価しており、99機の機体に対してプット・アンド・ホイットニー製の新型エンジン(F100-PW-229)への換装や構造強化のために1億2700万ドルの予算を投入した。これにより、F-15Eは少なくとも2027年10月まで、あるいはそれ以降も米空軍の「対地打撃の要」として飛び続けることになる。空軍予備役軍団(AFRC)も、2030年までに1400機の戦術戦闘機体制を維持する「10年戦闘機計画」を支えるため、余剰となるF-15Eの受け入れに意欲的だ。
■嘉手納に現れた「デジタル・イーグル」の正体
一方、極東・沖縄の嘉手納基地では、歴史的な世代交代が進行している。2025年7月、退役したF-15C/Dに代わり、初のアジア常駐となる**F-15EX「イーグルII」**の第1陣が到着した。最終的には36機が配備される計画だ。
このF-15EXは、外見こそ従来のF-15と酷似しているが、中身は全く別の機体と言っても過言ではない。 第一の特徴は、圧倒的な「兵装搭載能力」だ。新開発のAMBER複合ラックを採用することで、空対空ミサイル(AIM-120D等)を最大22枚搭載可能。これは従来のF-15Eの約1.5倍に相当し、まさに「ミサイル・キャリアー(空中弾薬庫)」としての役割を果たす。
第二に、デジタル化された「生存性」が挙げられる。最新の電子戦システム「AN/ALQ-250 EPAWSS」を標準装備し、AIアルゴリズムによる脅威認識と自動妨害が可能となった。これにより、レーダーに映りにくいステルス機であるF-22やF-35とデータリンクで連携し、ステルス機が先行して敵を発見、後方のF-15EXが圧倒的な火力で殲滅するという「ハイ・ロー・ミックス」の戦術が現実味を帯びている。
■航空自衛隊「F-15J」の延寿と「スーパーインターセプター」化
日本の防衛省もこの流れに同調している。航空自衛隊が運用する約200機のF-15Jのうち、近代化改修の対象外だった機体についても、ボーイング社との協力により「機体延寿計画」が進められている。
2024年12月に締結された契約に基づき、中央翼ボックスの交換を含む構造強化が実施され、機体寿命はさらに20年(最大20,000飛行時間)延長される見込みだ。改修された「J-MSIP(近代化改修機)」は、長距離巡航ミサイル(LRASM等)の搭載能力を持つ「JSI(ジャパン・スーパーインターセプター)」へと進化し、周辺国の第5世代戦闘機に対抗する防空の要となる。
■なぜ「古いF-15」が今も必要なのか?
第5世代機が主流となる現代において、なぜ各国はF-15系列に執着するのか。その理由は、ステルス機にはない「持続的な高負荷戦闘能力」にある。F-35は隠密性に優れるが、機内兵装庫の容量に制限がある。それに対し、13トンもの爆弾やミサイルを積み込み、マッハ2.5の高速で戦場に急行できるF-15EXやF-15Eは、紛争初期の防空網突破後の「面制圧」において代替不可能な存在なのだ。
また、ボーイング社が主導する構造強化プログラムにより、F-15は2040年代まで現役を続行できる見通しが立っている。2026年、東シナ海や中東といった紛争リスクの高い地域において、熟成された信頼性と最新のデジタル技術を融合させた「イーグル」は、依然として最強の守護神であり続けている。
(編集委員:山田 太郎 / 2026年3月3日)
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