『EIGHT-JAM』の衝撃：プロ選出「最強メロディー」と松任谷由実が初登場した理由

音楽の深層に迫る異色番組『EIGHT-JAM』の現在地：プロが選ぶ「最強メロディー」と松任谷由実初登場の衝撃

【東京発 2025年11月27日 共同通信】

テレビ朝日系列で毎週日曜の夜に放送されている音楽バラエティ番組『エイトジャム』が、放送開始から10年目を迎え、その独自性と音楽業界への影響力を一層強めている。2024年4月にグループ名改称に伴い『関ジャム 完全燃SHOW』から現名称へとリブランドされた同番組は、単なる歌唱番組に留まらず、音楽制作の裏側やプロの審美眼を深く掘り下げる姿勢を貫き、マニアからライト層まで幅広い支持を獲得している。

音楽の本質を問う「ディープ」な構成

『エイトジャム』の成功の秘密は、一般的な音楽番組が重視する新曲プロモーションやヒットチャートの追従とは一線を画す、その「ディープ」な構成にある。番組は、特定のテーマに基づいた楽曲の深掘りや、音楽プロデューサー、レコーディングエンジニアといった「裏方」のクリエイターにスポットを当てることで、音楽の本質的な魅力を浮き彫りにする。

特に、番組の代名詞とも言える企画が、音楽プロ93名へのアンケートに基づき制作された「最強メロディーBEST100」だ。これは、CD売上や話題性といった外部要因を排除し、純粋にメロディーラインの美しさ、覚えやすさ、普遍的な感情に訴えかける力を基準として評価する。この企画を通じて、Official髭男dismの「Pretender」などが高評価を得たことは、業界のプロフェッショナルたちが「バズる曲」ではなく「残る曲」をどのように見極めているかを示す貴重な機会となった。

2025年11月、歴史的ゲストが実現した「神回」

2025年11月の放送は、音楽ファンにとって歴史的な月となった。特に11月2日（日）の放送では、日本の音楽界のレジェンドである松任谷由実がスタジオに初登場し、大きな話題を呼んだ。岡村靖幸や武部聡志といった業界の重鎮たちとの共演は、番組が長年にわたり築き上げてきた音楽業界からの信頼の厚さを象徴している。

また、11月16日（日）の放送では、藤井風、星野源、Superflyといった豪華アーティストの未公開トークが繰り広げられ、ボーカル技法や音作りへのこだわりなど、普段聞くことのできない専門的な話題が展開された。これらの「神回」級の放送は、SNSなどで即座に大きな反響を呼び、音楽ファンにとって見逃せないコンテンツとなっている。

SUPER EIGHT新体制と番組の連動性

番組の冠を務めるSUPER EIGHT（旧：関ジャニ∞）は、2024年2月のグループ名変更を経て、新たな音楽的挑戦を続けている。彼らの冠番組である『エイトジャム』も、グループ名の変更と連動し、リブランディングを遂げた。

SUPER EIGHTのメンバーは、番組内で単なる司会者としてではなく、「音楽のプロフェッショナル」としてゲストと深く対話する役割を担っている。彼らの音楽的知識や経験が、複雑な音楽理論や制作過程を視聴者に分かりやすく伝える橋渡し役を果たしており、番組の質を支える重要な要素となっている。2024年にデビュー20周年イヤーを迎えたSUPER EIGHTの活動と、『エイトジャム』の番組内容は今後も密接に連動し、グループの音楽的進化を映し出す鏡としての役割を果たすことが期待されている。

業界を牽引する恒例企画

さらに、毎年恒例となっている「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」企画は、音楽業界の最新トレンドと未来を占う試金石として機能している。蔦谷好位置氏、いしわたり淳治氏、川谷絵音氏ら有力プロデューサーの審美眼を通じて選出される楽曲は、単なる流行を超えた「本当に残る音楽」の価値観を発信し続けている。

2025年1月には2024年の年間マイベスト10曲が発表され、AwichやMyukといった多様なアーティストの楽曲が注目された。これらの企画は、音楽業界全体に「普遍的な感情表現」と「歌いやすいメロディーライン」の重要性を再認識させる波及効果を生んでいる。

『エイトジャム』は、テレビ朝日の藤城剛ゼネラルプロデューサー兼演出が「色々と試行錯誤をしてコアな内容になった」と述べるように、継続的な進化と専門性の追求によって、他の音楽番組とは一線を画す地位を確立した。音楽の深層に光を当て、アーティスト同士の化学反応を促すこの異色番組は、今後も日本の音楽シーンにおける重要な羅針盤であり続けるだろう。

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