極北で磨く「氷上の格闘技」――女子アイスホッケー志賀紅音、ミラノの悔恨を糧に挑む新境地
ニュース要約: 女子アイスホッケーの志賀紅音が、スウェーデンでの挑戦やミラノ五輪後のリハビリ生活を『情熱大陸』で公開。日本人初のPWHL契約を経て北欧の名門Luleå HFで活躍する彼女が、怪我を乗り越え「真のエース」を目指す不屈の闘志と、次世代育成への想いを語ります。
極北の地で磨く「静かなる闘志」――女子アイスホッケー志賀紅音、ミラノを経て見据える新境地
【2026年4月6日 ニュースコラム】
2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが幕を閉じ、日本女子アイスホッケー界「スマイルジャパン」は一つの大きな節目を迎えている。北京五輪の6位から一転、9位という結果に終わった今大会。その悔しさを誰よりも深く胸に刻み、再び世界の頂点を見据えて動き出した一人の若きエースがいる。スウェーデン女子プロリーグ(SDHL)の名門「Luleå HF(ルレオ)」に所属する志賀紅音(しが・あかね)、25歳だ。
昨日4月5日、TBS系列のドキュメンタリー番組『情熱大陸』で彼女の挑戦が特集され、大きな反響を呼んでいる。番組が映し出したのは、マイナス20度を下回る北欧の極寒の地で、黙々と氷を削る志賀の姿だった。
■「やらない後悔より、やる後悔」海外挑戦の原動力
北海道帯広市出身。志賀のキャリアは、常に「挑戦」という言葉と共にあった。帯広三条高校、北海道文教大学を経て、2023年には北米の女子プロリーグPWHLのオタワと日本人として初めて契約を締結。日本生まれの選手としてリーグ初のポイントを記録するなど、歴史を塗り替えてきた。
2024年からは、女子アイスホッケーの世界でも屈指のレベルを誇るスウェーデンのLuleå HFへ移籍。「やらない後悔より、やる後悔」という自身の信条を地で行く決断だった。
「エースと呼ばれますが、自分ではまだその確信が持てない」
番組内でそう語る彼女は、周囲の評価に対してどこまでも謙虚だ。しかし、氷の上に立てばその印象は一変する。身長165cmと小柄ながら、激しいボディチェックが飛び交う「氷上の格闘技」において、自ら密集地帯へ飛び込み、果敢にゴールを狙う。そのプレーには、内に秘めた激しい闘志が宿っている。
■ミラノの悔恨と、不屈のリハビリ
先のミラノ・コルティナ五輪では、イタリア戦でゴールを決めるなど存在感を示したものの、チームは目標としたメダル争いには届かなかった。特にスウェーデン戦で見せた感情剥き出しのプレーとペナルティーは、彼女の勝ちへの執念の裏返しでもあったが、結果としてチームを勝利に導けなかった悔しさが残った。
さらに五輪後、彼女を試練が襲う。激闘の代償として負った負傷により、スウェーデンでの手術を余儀なくされたのだ。しかし、志賀は沈んでいなかった。自身のSNSでは「来週から本格的なリハビリがスタート」と英文を添えて報告。オタワ時代からの海外ファンや日本のサポーターから、数多くの励ましが寄せられている。
所属先である「株式会社デンソー北海道」のサポートを受けながら、リハビリと練習を重ねる日々。彼女が見据えているのは、4年後の未来だけではない。世界最高峰のリーグで「個人としていかに成長できるか」という、純粋なアスリートとしての渇望だ。
■次世代を担う「ニッポンの星」として
志賀紅音の魅力は、その高い得点能力だけでなく、姉の志賀葵と共に日本代表の柱としてチームを牽引する責任感にある。オフシーズンには姉妹で「アイスホッケーキャンプ」を企画するなど、次世代の育成にも余念がない。競技の普及という重責を背負いながらも、彼女はあくまで一人のプレーヤーとして、納得がいくまでスティックを振り続ける。
「エースだと胸を張れる選手になりたい」
日本のファンが彼女に贈る「ニッポンの星」という言葉が、真の意味で彼女自身の自信に変わるまで、極北での孤独な挑戦は続く。リハビリを終え、再びスウェーデンの氷上に志賀紅音が戻ってくる時、スマイルジャパンはまた一歩、世界の頂点へと近づくはずだ。
(取材・執筆:スポーツ報道部 専門記者)
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